拝啓、愛する地球へ


●背景導入-本編1本編2-クライマックス

真相 ⋯ 参考



真相

舞台は遥か未来の水星であり、地球は既に滅んでいる。
地球の滅亡には様々な可能性があり、このシナリオでは語られない。水星は、イス人の発明と長い時間の経過によって、テラフォーミングが済んでいる状態だ。

水星に「郷愁」という感情を研究するイス人がいた。
彼は定期的に人間をそこに呼んでは、実際の「郷愁」についてレポートをとっている。

その一帯のみ彼の発明が使われており、一定時間なら猟犬に補足されないよう特殊な磁場が張られている。 そのせいか、時々精神体や行き場を無くした人間が紛れ込んでくることがあるようだ。



詳細な背景

夜の草原、流星群。

それだけこの星は、この時代には、たくさんの星が死に流れているのだろうか。
遥か未来、水星がもしも奇跡的に住めるようになったのだとしたら。
もし遠い未来、地球は先に混沌に飲まれ消えていたとしたら。
未来はあらゆる可能性があり、様々放射状にのびている。

その一つ、時間を支配した"イスの偉大なる種族"の一人が水星にて過ごす世界線。
この世界線では地球は既に消え、水星は自然豊かな大地になっている。
そこに人間はいない。どこかへ旅立ったのか地球から出ることなく絶滅したのか、イスはそれを追っていない。

水星には、移動したイスたちが多く住んでいる。
そのひとりである"彼"は、イスの中でも変人だった。なぜなら、人間の脳というむきだしの内臓を精神の入れ物として利用しているからだ。その価値観は人間ではない証拠であり、同時に知的生命体の愛の証明ともいえる。

"彼"は地球にいた頃、あるエージェントの世話になった。
※「クライン生命保険相互会社」というイスの偉大なる種族のサポートを行うカルト組織。 詳細はクトゥルフ神話TRPG2010サプリやカルトナウを見てもらいたい。

その人間とは、利害を超えビジネス関係を超え、友情もしかしたらその先までの感情を交わし合う関係となった。
しかし、人間は永遠ではない。記憶も、感情も。在るものは、永遠ではない。
時間を支配したイスであっても、既に通り過ぎた記憶と過去は、未来のように無数ではない。違う世界線の過去と記憶を、自分は分かってもその人間とは共有が出来ない。
"彼"はその人間との時間を大切にするため、そこに改ざんを行うことはやめた。人間の価値観を、守ろうとした。

人間はいつか死ぬ。その人間も死に……"彼"はその脳をこっそりもらい受けた。脳だけは一緒にいようと。それは本人ではない。そんなことは百も承知の上であった。

人間は消え、地球は滅び、……やがて時は経つ。
"懐かしい"という感情が、会いたいという思いが、時間を支配したはずの"彼"にも芽生える。それは"郷愁"という状態によく似ていた。時間をさかのぼれば、少し精神を交換すればいつでも会えるというのに。

しかし、違った。
それでも、"郷愁"という感情は消えないのだ。



"彼"は、地球が、人間が好きである。
あの人間が愛し、守り、生きて死んでいった場所である地球を。

"彼"は少しでもその思いを研究・分析し、知ろうと努めた。
理由のつかない感情があることは知的好奇心の強いイスにとっては度し難いことであり、解明してやろうと躍起になった。そうすれば、その人間に対する想いの本当のところを知れるのではないかと思って。

"彼"が人間や地球を好きなのは事実だ。
しかし、そこには"彼"の、ある人間への"想い"が多分に含まれている。


背景の補足

イス人が未来、水星に移り住むあたりを参考にしている。
大多数は別の生命の肉体を借りているが、"彼"は保存状態を良好に維持したある人間の脳を使用している。 基本的に外に出ることはないため、困らない。 時々過去の地球には別の身体を使っておじゃましている。
この建物には『ナーク=ティトの障壁の創造(p274)』を使用しており、扉だけ出入りできる仕組みになっている。これは流星群の落下対策でもある。



参考

参考にしたリンク

オイルランタンのおすすめ18選!
水星の1日は1年より長い!
郷愁 織田作之助
郷愁とは
宇宙を支配する「たった1つの数式」があるって知っていました?
「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた
ニコニコ大百科「メルクリウス」について

他参照

「クトゥルフ神話TRPG 基本ルールブック6版」
「クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム」
「クトゥルフ神話TRPG クトゥルフカルト・ナウ」




Scenario めめ|拝啓地球TOP / めめシ置き場
Repost is prohibited.¦無断転載、自作発言、加工×